小さな町医者はなぜ消えるのか

小さな町医者はなぜ消えるのか

――財政赤字という呪文が医療を削っている

前回までで、私はこう書いた。

町医者がなければ、あの日の私はもっと危なかった。

今日はその続きだ。

少し踏み込む。

いや、かなり踏み込む。


問題は「効率化」ではない

問題は、その背後にある思想だ。

それは何か?

「財政赤字を減らさなければならない」という呪文。

これが全ての出発点になっている。


財務官僚の世界観

財務官僚の頭の中は、基本的にこうだ。

・政府支出は悪
・赤字は罪
・縮小は善
・効率化は正義

だから政治家もこう言う。

「無駄を削る」
「効率化する」
「スリムな政府」

聞こえはいい。

でも、その“無駄”って何ですか?

人です。


政府の「質素化」とは何か

効率化すれば、
政府の支出を減らせる。

支出を減らせば、
人員を減らせる。

人員を減らせば、
財政赤字が縮小する。

これが頭の中のロジック。

でも医療は?

医療は人です。

受付も、看護師も、薬剤師も、医師も。

そこを減らして「効率化」と言っている。


医療DXの裏側

医療DXは何のため?

もちろん建前は、

・情報共有
・質の向上
・利便性向上

でももう一つの顔がある。

「人を減らせるかもしれない」

AIを導入する。
システムを導入する。
自動化する。

その先にあるのは、

「人件費削減できるか?」

という経営者的思考。


AIも同じ文脈

最近よく聞きますよね。

「AIで業務効率化」
「人手不足解消」
「財政負担軽減」

これ、医療DXと全く同じ文脈です。

AIを導入すれば、

・窓口が減らせる
・事務が減らせる
・人件費が減らせる

そしてこう言う。

「財政赤字が縮小できる」

でもね。

削られているのは現場です。


現場を見ない政治判断

私が怒っているのはここです。

現場を見ないで、

財政赤字の数字だけを見て、

政治判断していること。

町医者の受付が何人で回しているか。

どれだけ余裕がないか。

高熱患者がどんな状態で来るか。

そんなことより、

「支出を減らせるか」が優先。

その結果が、

40度の人間が立たされる社会。


洗脳されているのは誰か

強い言葉を使います。

政治家も行政官も、

「赤字削減=正義」に頭の中を完全に支配されている。

それが善だと信じ込んでいる。

でもそれは、国家を家計と同じに見る思考。

政府は通貨発行主体です。

医療費を削らなければ破綻する?

本気でそう思っているのか。


医療はコストではない

医療は支出ではない。

社会の基盤です。

人が倒れたとき、
すぐ行ける場所がある。

これがどれだけ重要か。

財務省のエクセルには出てこない。

でも命に直結する。


「小さなもの」を切る発想

効率化は、常に小さいものから切る。

小規模医院。
小規模事業者。
地方。

大きいところは生き残る。

小さいところは「非効率」と言われる。

でも高熱の人間にとって、

徒歩10分の医院は、
世界で一番効率的な医療機関だ。


そして責任転嫁が始まる

混雑すると言う。

医療が逼迫していると言う。

高齢者が多いからだと言う。

違う。

人を減らしたから。

支出を抑え続けたから。

財政赤字という言葉に怯え続けたから。


私は陰謀論を言っているわけではない

誰かが悪意でやっているとは思っていない。

でも、

思想が間違っている。

「削ることが善」という思想。

これが医療にまで浸透している。

その結果が、

ギリギリの人員で回る現場。

その結果が、

立たされる患者。


本当に必要なのは逆だ

人を増やすこと。

余裕を持たせること。

赤字を恐れず、
医療に投資すること。

それが国家の役割。


私は今回、インフルエンザで倒れながら、

医療DXの裏にある思想を見た。

第4稿では、

「高齢者が悪い」という分断ではなく、

この政治思想そのものをどう変えるべきか。

そこまで踏み込みます。

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