消費税は「売上税」である
――ここを間違えると、すべての議論がズレる
消費税の話になると、議論は必ず迷子になる。
社会保障、再分配、財源、景気対策――
論点が一気に広がり、最後には何を話していたのか分からなくなる。
しかし本当は、
最初に確認すべき事実はたった一つしかない。
消費税は売上税である。
ここを外した瞬間、
その後の議論は全部ズレる。
だから今回は、この一点だけを丁寧に説明する。
利益ではなく「売上」にかかる税
まず、いちばん重要な確認から始めよう。
法人税は利益にかかる。
赤字なら基本的に払わない。
しかし消費税は違う。
利益ではなく、売上(取引)に連動して発生する。
ここが決定的な違いだ。
商売をしていれば分かる。
赤字でも売上は立つ。
- 値上げできない
- 原価が上がる
- 人件費や家賃が重い
- 借入返済がある
こうした状況では、
売れているのに赤字
という状態が普通に起きる。
それでも消費税は発生する。
つまりこれは、
儲けではなく、商売そのものにかかる税
なのである。
「赤字でも払う税」が何を生むか
ここが現場にとって最も重い。
利益に税がかかるなら、
赤字のときは耐えられる。
しかし売上に紐づく税は違う。
苦しいときほど逃げ場がない。
- 利益がなくても請求される
- 資金繰りが厳しいほど重くなる
- 回復前に資金が尽きる
結果として何が起きるか。
税金が払えず倒産する。
これは感覚論ではない。
現実に、税金や社会保険料の滞納が一因となる倒産は
近年高水準で推移している。
つまり、
売上にかかる税は、
企業の生存線を直接削る
ということだ。
入金がなくても資金は出ていく
売上税的性格の怖さは、
ここにも現れる。
商売では普通、
売上と入金はズレる。
- 掛け売り
- 支払いサイト
- 回収不能
こうした状況は珍しくない。
しかし消費税の計算は、
入金ではなく取引を基準に動く。
社長の感覚はこうなる。
「金は入ってないのに、税だけ来る」
これが
売上税の現実である。
中間納付が資金繰りを直撃する
さらに追い打ちをかける仕組みがある。
中間納付だ。
前期の実績をもとに、
今期の途中で納税が求められる。
たとえ今期の売上が急減していても、
まず支払いが来る。
ここでも企業の体感は同じになる。
「売れてないのに払えと言われる」
これこそ、
売上税型の特徴だ。
価格転嫁できなければ、企業が沈む
理屈の上では、
消費税は価格に転嫁できることになっている。
しかし現実の市場は違う。
- 競争が激しい
- 値上げできない
- 取引先が認めない
このとき何が起きるか。
企業が自腹で負担する。
つまり消費税は、
売上にかかり、
利益を削り、
資金繰りを締め上げる
構造を持つ。
これはもう、
売上税そのものだ。
名前が変わっても、本質は変わらない
かつて日本では、
「売上税」という名称の税が検討され、
強い反発で消えた。
その後に登場したのが
「消費税」である。
しかし重要なのは、
呼び名ではない。
経済の中でどう作用するかだ。
- 売上に連動して発生する
- 赤字でも負担が消えない
- 資金繰りを直接圧迫する
この三点がそろえば、
それはもう売上税である。
なぜここが出発点なのか
消費税をめぐる議論は多い。
上げるべきか、下げるべきか。
必要か、不要か。
だが、その前に
絶対に共有しなければならない事実がある。
これは売上にかかる税である。
ここを曖昧にしたまま議論すると、
現場の現実が見えなくなる。
そして最終的に、
机上の理屈だけが残る。
結論
もう一度だけ、
最初の一行に戻ろう。
消費税は売上税である。
利益ではない。
余裕でもない。
儲けでもない。
商売そのものにかかる税だ。
だからこそ、
企業の生存に直結する。
ここを理解しない限り、
どんな制度論を積み重ねても、
現実には届かない。
すべての議論は、
まずここから始めるべきだ。

コメント