政治の話をしていると、どうしても外交や経済が中心になりがちだ。
安全保障。
財政。
税金。
もちろん全部大事。だけど、日本社会の土台に直結してるのに、なぜか前に出てこないテーマもある。
それが教育現場の労働環境だ。
で、この問題の中心にいるのが、例の――
給特法(教員給与特別措置法)。
実はこの話、私が独自に掘り当てたというより、先日参加した「篠原一騎さんのおしゃべり会」で出てきた話がきっかけだった。篠原さんが政治家を志したとき、先生に相談したら「政治をやるなら教育の問題は勉強しといた方がいい」と言われたらしく、その先生が教えてくれた制度の一つが給特法だった、という流れ。
……いや、先生、正しい。
というか、教育の“働き方”って、政治そのものだ。
- 「先生って残業代出ないんだよ」って、そういうことだったのか
- 給特法とは何か:ざっくり言うと「残業代の代わりに4%」
- 給特法の歴史:なぜ「4%」なのか(1966年の調査が前提だった)
- 「当時は合理的」だった、という理屈も分かる(でも今は違う)
- 教師の長時間労働:データで見ると、普通にしんどい
- 海外の先生と比べるとどうなの?:日本は「授業以外」が長い
- 画像で一発で分かる(参考)
- じゃあ給特法は悪法なの?――私は「設計が時代に追いついてない」派
- 主権者教育の話に戻る:先生が疲弊してる国で、民主主義は育つのか?
- 給特法の議論は、もっと表に出ていい(というか出さないと詰む)
- 関連リンク(いつもの)
- 「3/24 Abema Prime 出演予定」
「先生って残業代出ないんだよ」って、そういうことだったのか
正直、私もこの話を聞いた瞬間に「ああ、あの話か」と思った。
教員免許を持ってる友人がいて、昔こんなことを言ってたんですよ。
「学校の先生って残業代出ないんだよ」
当時は制度の名前までは知らなかったけど、「教育現場はかなりブラックっぽい」という噂だけは、耳に入ってた。
ちなみにその友人、教員免許は持ってるのに、学校の先生はやってない。理由はシンプルで、
「仕事量に対して待遇がきつい」
……まあ、率直すぎる。でも現場のリアルって、だいたいそんな一言に凝縮される。
給特法とは何か:ざっくり言うと「残業代の代わりに4%」
給特法の正式名称は、e-Gov上では**「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」。法律番号は昭和46年法律第77号**、公布日は昭和46年5月28日と整理されている。いわゆる「昭和46年制定」の制度だ。(Source)
この制度のキモは、参議院の解説資料に、かなりストレートに書かれている。
- 原則として時間外勤務は命じない(ただし例外あり)
- 時間外勤務手当や休日給を支給しない一方で、勤務時間の内外を問わず包括評価するものとして教職調整額(給料月額の4%)を支給する仕組み (Source)
つまり、教員の仕事は「残業何時間だからいくら払う」ではなく、最初から“込み”にされがち、という設計になっている。
給特法の歴史:なぜ「4%」なのか(1966年の調査が前提だった)
ここが一番“制度の古さ”を感じるところ。
参議院の解説資料によると、教職調整額が「4%」になった根拠として、文部省が実施した昭和41年度(1966年度)の教員勤務状況調査が挙げられている。当時の平均月残業時間が8時間程度で、その8時間分の時間外勤務手当が給料の約4%に相当する、という説明が紹介されている。(Source)
1966年の「月8時間」前提で作った仕組みが、今も制度の中核に居座ってる。
そりゃ現場とズレるよね、という話。
「当時は合理的」だった、という理屈も分かる(でも今は違う)
給特法が生まれた背景として、当時は「教員の仕事は授業だけじゃなく、生徒指導や行事もあって、時間で切り分けにくい」という考えがあった。だから、細かく残業代を計算するより「包括で払う」ほうが合理的、というロジックは一応わかる。
ただ、問題はここから。
時代が変わった。
学校に求められる役割が、増えすぎた。
部活。いじめ対応。保護者対応。特別支援。ICT。地域連携。書類。研修。
全部「教育」っちゃ教育なんだけど、先生の身体と時間は一個しかない。
教師の長時間労働:データで見ると、普通にしんどい
「ブラックらしい」って噂話じゃなく、数字で見ても普通にエグい。
2016年(平成28年度)調査:中学教諭、平日平均11時間32分
文科省の教員勤務実態調査(平成28年度/確定値)では、中学校教諭の平日の1日当たりの学内勤務時間が11時間32分と示されている(持ち帰りは含まない)。(Source)
さらに同資料では、週あたりの学内勤務時間の分布として、中学校教諭で週80時間以上の区分も提示されていて、例えば
80~85時間未満:4.6%/85~90時間未満:2.2%/90~95時間未満:1.1%/95~100時間未満:0.4%/100時間以上:0.2%
といった数字が並ぶ。(Source)
「一部の人が激務」じゃなくて、構造として“長時間側”が厚い。
2022年(令和4年度)調査:中学教諭、週60時間以上がゴロゴロ
令和4年度の勤務実態調査(確定値の集計)でも、中学校教諭の在校等時間分布は、週60時間以上の区分がしっかり出てくる。
60~65:10.0%/65~70:10.9%/70~75:7.3%/75~80:4.6%/80~85:2.2%/85~90:1.1%/…/100時間以上:0.2% といった具合。(Source)
この調査は、令和4年の8月・10月・11月のうち、連続する7日間を対象にしている(対象校数も明記されている)。(Source)
そして小学校教諭も、分布を見ると
50~55時間未満:24.0%/55~60時間未満:24.4%/60~65時間未満:16.3%
など、そもそも「50時間台」が標準帯みたいになっている。(Source)
海外の先生と比べるとどうなの?:日本は「授業以外」が長い
ここで「海外比較」も入れておく。これは“日本の先生が根性なし”とかそういう話じゃなく、制度と業務設計の問題を見える化するため。
OECDの国際教員調査(TALIS 2024)について、nippon.comの解説記事では、日本の教員(常勤)の勤務時間は最も長く、中学校で週55.1時間、小学校で週52.1時間だったと紹介されている。(Source)
さらに同記事では、国際平均よりも中学は14.1時間、小学校は11.7時間も長かったとされる。(Source)
で、私が「ここが核心では?」と思ったのが内訳。
同記事によると、日本の中学教員は授業時間そのものは17.8時間で国際平均(22.7時間)より短い一方で、
授業準備8.2時間、部活など課外活動5.6時間(国際平均1.7時間)、事務業務5.2時間(国際平均3.0時間)など、授業以外が長い。(Source)
つまり、「教える時間が長すぎる」より先に、「教える以外が積み上がりすぎ」問題なんだよね。
画像で一発で分かる(参考)
ブログに貼るなら、この2枚が強いです。
じゃあ給特法は悪法なの?――私は「設計が時代に追いついてない」派
ここまで読むと、「給特法=悪!」と言いたくなる気持ちは分かる。
でも私の感覚だと、給特法の“思想”自体は、当時の合理性がゼロではなかった。
問題は、前提が変わったのに、制度と業務が追いついてないこと。
参議院の解説資料でも、給特法は教員の職務・勤務態様の特殊性に基づいて特例を定め、原則として時間外勤務を命じない一方で、例外として「超勤4項目」に限って命じることができる、という建て付けが説明されている。(Source)
で、現場はどうかというと――データが示す通り、時間外が“例外”じゃなくなってる雰囲気がある。
制度が「原則やらせない」って言ってるのに、現実は「やらないと回らない」。
このねじれは、たぶん精神論で解決しない。
主権者教育の話に戻る:先生が疲弊してる国で、民主主義は育つのか?
篠原一騎さんのおしゃべり会でも、教育の話から主権者教育の話に広がった。そりゃそうだと思う。
民主主義って「選挙行け」で終わらない。
政治を理解する力、話し合う力、ルールを学ぶ経験――こういう土台がないと、政治参加は続かない。
でも、その土台を作る側(先生)が疲弊していたら、主権者教育どころじゃない。
「考える時間」や「対話の余裕」って、現場の空気から生まれるから。
教育問題は、学校内の話じゃなくて、法律と予算と制度の話。つまり政治問題そのものだ。
ちなみに、この「主権者教育」の重要性については、私が参考にしている 中村哲治先生 も指摘している。
前回のブログ通ずるテーマ、民主主義では国民一人ひとりが主権者であるという自覚を持つことが重要であり、そのためには主権者教育が不可欠。
興味がある方は中村先生のYouTubeもみてほしい(ごめんなさいどの動画が言ってたか忘れてしまったのでチャンネルそのものを貼っておきます)
※いくら制度を変えたところで主権者教育、リテラシーも含めて主権者のレベルがそこに達していないととんでもないことになるというのが私の意見です。
給特法の議論は、もっと表に出ていい(というか出さないと詰む)
給特法って、普段ほとんど意識されない。
でも、教育現場の働き方に直撃しているのは間違いない。
私が今回いちばん言いたいのは、「先生かわいそう」だけじゃなくて
教育の労働環境が崩れると、回り回って、社会の土台が崩れる。
外交や経済も大事だけど、教育がガタついた国は、結局どこかで回収不能になる。
だから、こういう地味な制度こそ、もっと議論されるべきだと思う。
関連リンク(いつもの)
- 篠原一騎さん
- 町田市議会議員 長谷川けいすけさん
- イベント主催者
- note 片倉ぱすたさん:https://note.com/brave_gerbil517
- 一応オラのX(筆者)
「3/24 Abema Prime 出演予定」
3月24日、篠原一騎さんが「Abema Prime」出演予定(※ご本人の告知ベース)
そういえば、篠原さんは3月24日に「Abema Prime」出演予定とのこと。こういう“外に出る場”って、発信してる側からすると地味に体力勝負なんですよね。スタジオは暖かくても、本人のトークはたぶん熱い。
当日の詳細や時間帯は変更もあり得るので、いちばん確実なのは篠原さんのXで最新情報をチェックするのが安心です(私も当日、たぶんソワソワしながら見ます)。
※「出るだけで偉い」じゃなくて「出て何を言うか」が本題。そこが見どころ。配信URL①: https://abema.tv/channels/abema-news/slots/BUj4Fe9SRvG2gX?utm_campaign=slot_share_cy&utm_medium=referral&utm_source=referral
②: https://abema.tv/channels/abema-news/slots/BUj4FeepVAq3q9?utm_campaign=slot_share_cy&utm_medium=referral&utm_source=referral



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