無効だ!」と叫ぶ人たちのための、とても優しい民主主義入門

――開票現場で見た“静かな現実”と“騒がしい幻覚”

まず最初に、安心してほしい。

この文章は、
怒って書いているわけではない。

むしろ逆だ。
あまりにも面白かったので書いている。


世界には二種類の人間がいる

開票立会に行って分かった。
世の中の人間は、だいたい二種類に分かれる。

  • 条文を読む人間
  • 叫ぶ人間

以上である。
思想でも階級でもない。
ただの分類


叫ぶ人間の特徴

彼らはとても忙しい。

  • 条文は読まない
  • 現場も見ない
  • でも断定はする

時間がないのだろう。
なにしろ、
想像で世界を完成させる作業に追われている。


「一文字違うから無効!」という美しい世界

彼らの世界はシンプルだ。

  • 正しい文字 → 有効
  • 一文字違う → 無効

なんて分かりやすい。
幼児向け知育パズルとして完成度が高い。

残念ながら、
日本の選挙制度は
そこまで親切に作られていない。


現実はもっと退屈で残酷だ

現実の基準は一つしかない。

特定できるかどうか。

以上。
終わり。

ここにロマンはない。
ドラマもない。
YouTubeの再生数も伸びない。

ただの事務である。


現場に陰謀はなかった

これも残念なお知らせだ。

開票現場には、

  • 闇の組織
  • 秘密の合図
  • 黒幕の笑い

……何一つ存在しなかった。

あったのは、

真面目な大人たち
静かな作業
条文どおりの判断

だけである。

陰謀論好きには申し訳ない。
現実はたいてい、
役所の空気でできている。


そして、少し面白い事実

ネットで「無効だ!」と元気に叫ぶ人たちが
好んで支持している政党がある。

その政党――

無効票、普通に多い。

理由は難しくない。

  • 余計なことを書く
  • メッセージを残す
  • 感情が先に出る

つまり、

ルールより気持ちが大事。

とても人間らしい。
そしてとても無効になりやすい


だが無効票にも“知性”はある

ここからが本題だ。

無効票の中には、
二種類ある。

① 本当に分かっていない無効票

かわいい。
説明すれば理解する可能性がある。

② 分かった上で崩している無効票

……これが怖い。

明らかに、
制度を理解して遊んでいる。

どこの政党か分からない。
だが偶然ではない。
計算の匂いがする。

これはもう、
無効票というより作品である。


「わいわ」という芸術

そして例のやつ。

ひらがなで
「わいわ」

最初にこれをやった人、
私はかなり尊敬している。天才だと思う

勿論

自分が立会人になる前からこれが有効票であることは知ってましたけど、常識的にわかるので

制度理解 × 釣り × ネット文化

の完璧な融合だからだ。

しかもすごいのは、

いまだに釣れ続けている

ことである。

ここまで来ると、
個人の投稿ではない。

長期連載型コントだ。


ネトウヨは右翼ではない

ここで誤解を解いておきたい。

私はネトウヨが嫌いだ。

だが理由は政治ではない。

右翼だから?
違う。

左翼だから?
もっと違う。

思想に到達していないからだ。

思想の前にあるもの。
それは何か。

調べないまま断定する勇気。

これは政治思想ではない。
認知スタイルである。


民主主義はとても優しい

日本の民主主義は寛大だ。

  • 条文を読む自由
  • 読まない自由
  • 間違える自由
  • 叫ぶ自由

すべて保障されている。

素晴らしい制度だと思う。

ただし副作用がある。

一番大きな声が、
一番正しいとは限らない。

むしろ逆転することすらある。
人体実験としては興味深い。


それでも現場は回り続ける

どれだけネットが騒いでも、
どれだけ無効だと叫ばれても、

開票作業は――

1ミリも影響を受けない。

静かに、
正確に、
淡々と進む。

つまり現実は、

想像よりずっと大人で、
想像よりずっと冷たく、
そして想像よりずっと頑丈
だ。


とても残酷で、とても優しい結論

最後に、
本当に優しい言葉を贈りたい。

条文を読まず、
現場も知らず、
それでも今日も元気に

「無効だ!!」

と叫んでいるあなたへ。

大丈夫。
安心してほしい。

その叫びは、

民主主義に完全に無視される形で
きちんと守られている。

これが自由である。

そして同時に、
最高にブラックな冗談でもある。


(完全ブラックユーモア版・完)

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