――マイナ保険証は誰のための効率化か
前回書いた通り、私はインフルエンザA型で40度近い熱を出しながら、マイナンバーカード端末の前に立たされた。
今日はその話を、もう少し冷静に考えたい。
怒ってはいる。
でも今日は怒鳴らない。
ちゃんと考える。
まず確認しておく
マイナンバーカードを健康保険証として使う仕組みは、「オンライン資格確認」という制度の一部だ。
国はこれを医療DXと呼び、
・事務効率化
・情報共有
・医療の質向上
を目的にしている。
理屈はわかる。
でもね。
設計思想って、言葉じゃなくて「使われ方」に出るんですよ。
問題はここ
なぜ「立って操作」なんですか?
あの端末、基本的にカウンターに置いてありますよね。
患者が立ってカードを置き、
暗証番号を入力し、
顔認証を受ける。
つまり設計前提はこうです。
「患者は立って操作できる」
これ、地味にすごい前提です。
医療機関に来る人って、元気ですか?
・高熱
・吐き気
・めまい
・足の痛み
・高齢
・車椅子
・妊婦
いろんな人が来る。
なのに設計は「自立操作」。
自己責任型システム
マイナ保険証は基本的に「自分でやってください」方式です。
・暗証番号は自分で入力
・顔認証は自分で対応
・エラーは自分で修正
これ、コンビニのセルフレジと同じ思想なんですよ。
「人件費削減型UI」
でもコンビニは元気な人が行く場所です。
医療機関は違う。
医療は「弱っている人」を前提にしなきゃいけない。
なのに設計は、
元気な人が自分で処理する前提
これ、思想が逆なんです。
効率化って誰の効率?
事務は早くなるかもしれない。
データはつながるかもしれない。
でもその裏で、
・高熱の人が立たされる
・高齢者が混乱する
・顔認証が通らず時間がかかる
・職員が説明に追われる
これ、本当に効率化ですか?
効率って、全体最適で考えないと意味がない。
受付が早くなっても、患者が倒れたら意味ないでしょう。
設計者は現場を見たのか?
私はここが一番気になっている。
このシステムを設計した人は、
・インフルで受診したことがあるのか
・高齢者の付き添いをしたことがあるのか
・混雑した町医者に行ったことがあるのか
たぶん、ない。
会議室で設計してる。
パワーポイントで説明してる。
「利用率〇%」とか言ってる。
でもね。
医療って数字じゃない。
立てない人がいる。
書けない人がいる。
入力できない人がいる。
そこを想像しない設計は、どれだけDXと言っても、人間を見ていない。
ここが一番腹立つ
マイナンバーカードを使うこと自体に私は反対していない。
問題は、
弱っている人を前提にしていない設計思想
ここなんです。
医療は「元気な人の世界」ではない。
にもかかわらず、
・セルフ操作
・自己責任入力
・形式優先
この構造は、完全に新自由主義的です。
「自分でやれ」
「自分で管理しろ」
「自分で入力しろ」
弱っていても、やれ。
これが思想です。
本当に必要なのは
・座ったまま操作できる設計
・代行入力を前提とした柔軟運用
・急性疾患患者優先の動線
・職員増員
つまり「人を増やす」こと。
でもそれをやらない。
なぜか?
人件費がかかるから。
効率化の名の下に、
人を減らし、
システムで代替し、
現場に余裕がなくなる。
そして40度の人間が立たされる。
これ、象徴ですよ。
私はこう思う
デジタル化は否定しない。
でも設計思想は変えろ。
医療は「弱った人基準」で作れ。
元気な人基準で作るな。
これだけです。
第3稿では、
なぜ小さな町医者が消え、
なぜ現場がギリギリになり、
なぜ人を増やせない構造になったのか。
その「経済構造」を書きます。
怒りはまだ続きます。

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