供託金は「民主主義の防波堤」か、それとも「市民排除の壁」か

地方選と国政選挙の違いから見える、日本政治の閉塞構造

日本の選挙制度を語るとき、あまり真正面から議論されないテーマがあります。
それが供託金制度です。

立候補する際に一定額を預け、得票が足りなければ没収される――。
この仕組みは「当然の前提」のように扱われています。

しかし冷静に見れば、日本の供託金は

  • 金額が極めて高い
  • 国政と地方で設計思想が違う
  • 経済格差が政治参加を左右する

という、民主主義の根幹に関わる問題を抱えています。

本稿では、地方選と国政選挙の比較を通じて、
この制度が何を守り、何を排除しているのかを、
れいわ新選組的な視点――すなわち
「生活者の側からの民主主義」
という立場で考えます。


国政選挙の供託金が意味するもの

300万円という“見えない資格試験”

衆議院・参議院の選挙区では供託金は300万円
比例代表では600万円です。

しかも没収ラインは得票率10%未満

これは制度上は「売名防止」ですが、
実態としてはまったく別の機能を持っています。

お金がなければ政治に参加できない

という、極めてシンプルで残酷な現実です。

300万円は、
生活に余裕のある層には「努力で届く額」かもしれません。
しかし、非正規労働者、シングルマザー、障害当事者、
あるいは低賃金で働く若者にとっては――

人生を賭ける金額

です。

ここに、日本政治の階級構造がそのまま表れています。


地方選挙がまだ「開かれている」理由

一方で地方議会選挙の供託金は

  • 都道府県議:60万円
  • 市区町村議:30万円

没収ラインも定数割り方式で、
「当選可能性に近いかどうか」が基準になります。

これは裏を返せば、

小さな支持でも政治参加を認める

という思想です。

ここには、まだかろうじて
生活と政治がつながる回路が残っています。

実際、れいわ新選組が地方から支持を広げてきたのも、
この構造と無関係ではありません。


なぜ国政だけが極端に閉じているのか

この非対称性は偶然ではありません。
むしろ、日本政治の核心です。

① 政党システムの自己防衛

高額供託金は、
既存政党にとって最も静かな参入規制です。

暴力も、法律による露骨な排除もいらない。
お金だけで足りる。


② 財政緊縮と同じ思想

れいわ新選組が批判してきた
「自己責任」「受益者負担」「小さな政府」。

供託金制度は、
まさにこの思想の政治版です。

参加したいなら自己負担しろ。

しかし民主主義とは本来、

参加できること自体が公共財

のはずです。


③ 市民政治への恐れ

生活困窮者、労働者、若者、
つまり既得権を持たない人々
国政に大量参入したら何が起きるか。

  • 消費税はどうなるか
  • 社会保障はどうなるか
  • 大企業中心政策は維持できるか

答えは明白です。

だからこそ、
入口は静かに、しかし確実に閉じられている。


供託金制度は本当に必要なのか

もちろん反論はあります。

  • 売名候補が増える
  • 投票用紙が長くなる
  • 選挙管理が大変になる

しかし、ここで問うべきは優先順位です。

選挙管理の効率
政治参加の自由

どちらが民主主義の核心でしょうか。

れいわ新選組の立場は明確です。

生活者の参加を制限する制度は、
どれほど合理的でも正当化されない。


世界と比べて見える異常さ

多くの民主主義国では、

  • 供託金は低額または無し
  • 署名要件で代替
  • 得票率条件も緩い

つまり基準は一貫しています。

お金ではなく意思で測る

日本だけが、逆です。

意思ではなく資金で測る

これは制度の違いではなく、
民主主義観の違いです。


れいわ新選組が突きつけた問い

れいわ新選組の登場は、
単なる新党の誕生ではありませんでした。

それは、

政治は誰のものか

という根源的な問いの提示でした。

供託金問題も同じです。

  • 政治は余裕ある者の特権か
  • それとも生活者の権利か

この分岐点に、私たちは立っています。


結論

民主主義を「取り戻す」ために

地方選と国政選挙の供託金の違いは、
単なる制度設計ではありません。

それは、

  • 開かれた民主主義(地方)
  • 管理された民主主義(国政)

という二つの日本の対比です。

そして今、
国政の側があまりにも閉じている。

だから問われているのは、
供託金の是非そのものではありません。

この国の民主主義は、
誰のために存在するのか。

れいわ新選組の支持が広がる理由は、
まさにこの問いに真正面から向き合っているからです。

政治を特権から権利へ。
参加を例外から当たり前へ。

供託金の議論は、
その第一歩にすぎません。

せっかくなのでちょいと比較を

――直近選挙データだけで比較する「政治参加の壁」

ここでは仮定を一切使わず、
直近の公式開票数値のみから
供託金没収ライン(募集ライン)を算出する。

比較対象は次の三つ。

  • 日野市議会議員選挙(2026年2月15日)
  • 東京都議会議員選挙(2025年6月22日)
  • 衆議院小選挙区(2026年2月8日)

① 日野市議会議員選挙(2026-02-15)

実数

  • 有効投票総数:70,509票
  • 定数:24

(※日野市公式開票結果)


当選ライン(定数割)

70,509 ÷ 24 = 2,937.875

供託金没収ライン

市議会は

(有効投票総数 ÷ 定数)÷ 10

なので

2,937.875 ÷ 10 = 293.7875

294票以上で没収回避
293票以下は供託金30万円没収


② 東京都議会議員選挙(2025-06-22)

日野市は
南多摩選挙区(多摩市+稲城市)とは別区だが、
都議選は市単位の開票実数が同形式で公表されるため、
同じ多摩地域の直近実数で算出する。

直近実数(多摩市開票区)

  • 有効投票総数:60,662票
  • 投票者総数:61,548票
    (※2025都議選公式開票)

定数

南多摩選挙区は 定数2


当選ライン

60,662 ÷ 2 = 30,331

供託金没収ライン

30,331 ÷ 10 = 3,033.1

3,034票以上で没収回避
3,033票以下は供託金60万円没収


③ 衆議院小選挙区(2026-02-08)

選挙区全体の有効投票総数

候補者得票合計:

  • 97,494
  • 65,713
  • 37,086
  • 22,373
  • 6,154

合計:

= 228,820票

(※東京21区開票結果)


供託金没収ライン(10%)

衆院小選挙区は

有効投票総数 × 10%

228,820 × 0.1 = 22,882

22,882票以上で没収回避
22,881票以下は供託金300万円没収


④ 三層を完全比較するとこうなる

【市議会】
没収回避ライン:294票
供託金:30万円

【都議会】
没収回避ライン:3,034票
供託金:60万円

【衆議院】
没収回避ライン:22,882票
供託金:300万円

⑤ 倍率で見る「民主主義の入口」

市議を基準にすると

  • 都議:約10.3倍の票
  • 衆院:約77.8倍の票

さらに供託金は

  • 都議:2倍
  • 衆院:10倍

――制度は中立に見えて、階層的に設計されている

直近実数だけで比較すると明確になる。

  • 市議:数百票で参加可能
  • 都議:数千票が必要
  • 国政:数万票+高額供託金

つまり、

権力の中心に近づくほど
市民の政治参加は急激に狭くなる

この構造こそが、
供託金制度の本質

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