新自由主義と自己責任論が作った「椅子取りゲーム社会」――椅子を増やさず競争させる国の30年

いきなり結論から言います。
いまの日本社会を一言で表すなら、**「椅子取りゲーム社会」**です。

しかもこの椅子取りゲーム、運営が性格悪すぎる。

  • 椅子は増えない(むしろ体感減ってる)
  • 音楽(=競争を煽る掛け声)だけは無駄にうるさい
  • 途中参加の人ほど不利(就職氷河期?はい、ハードモード確定)
  • 負けたら「努力不足」と説教される(椅子の数の話をしてるのに精神論)

今日はこの地獄仕様が、どうやって“仕様”として固定されたのかを、**新自由主義(市場万能っぽい運営)自己責任論(負けた人に説教する運営)**を絡めて、ブログ掲載用にリライトします。
さらに「雰囲気」ではなく、最低限のエビデンスも差し込みます。


目次

  1. 椅子取りゲーム社会とは何か
  2. まず確認:「お金ってどこから来るの?」問題
  3. 椅子が増えないと何が起きるか(仕事・賃金・生活)
  4. 日本で実際に起きたこと(非正規・賃金停滞のデータ)
  5. 自己責任論がホラーになる構造
  6. 「供給力を上げろ」の本当の意味
  7. 結論:椅子を増やせ(政策の方向性)
  8. よくある反論Q&A(軽めに迎撃)

1. 椅子取りゲーム社会とは何か

椅子取りゲームって、本来はルールが単純です。

  • 人数より椅子が少ない
  • 音楽が止まった瞬間に座れなかったら脱落

これを社会に当てはめると、椅子はざっくり 「安定した雇用」「十分な所得」「将来の見通し」 です。
座れないとどうなるか。生活が不安定になり、結婚・出産・挑戦(転職、起業、学び直し)みたいな“未来行動”ができなくなる。

ここまではまあ、比喩として普通です。
問題はここからで、日本版は運営が狂っています。

椅子の数(安心して生きられる枠)が増えないのに、競争だけは強化してきた。

そして負けた人にこう言う。

「自己責任」
「努力が足りない」
「甘えるな」

……いや、ゲームデザインが悪いんだよ。椅子を増やせ。


2. まず確認:「お金ってどこから来るの?」問題

新自由主義や自己責任論を理解するうえで避けられないのが、これです。

そもそも、お金はどこで作られて、市場に出てくるのか?

ここをすっ飛ばすと、議論が全部「気合い」「根性」「意識改革」になります。
そして最後に残るのが、努力教の説教だけ。

お金は“主に”銀行が貸し出すことで生まれる(超重要)

現代の経済では、預金の多くは「誰かが貯金箱に入れたお金」ではなく、銀行が貸し出しを行うことで同時に生まれる預金です。

イングランド銀行(中央銀行)が、かなりハッキリこう説明しています。

この説明が強いのは、「陰謀論」でも「過激派」でもなく、中央銀行が言っている点です。

じゃあ政府は関係ないの?

関係あります。ざっくり言うとこうです。

  • 銀行は貸し出しでお金(預金)を作る
  • でも、企業や家計が「借りたい」と思えるか(需要・将来見通し)が超大事
  • その需要と見通しを左右する大きな要因が、景気・雇用・社会保障・公共投資
  • それらに政府の財政が関与しないわけがない

つまり、乱暴にまとめると、

  • **民間の信用創造(銀行貸出)**と
  • 政府の支出・制度設計(需要と安心の土台)

この“合成”で、社会に回るお金と仕事の量感が決まってきます。

※ちなみに日本銀行の統計でも、マネーストック(M1/M2など)が「通貨+預金」という形で定義されているのが分かります(「預金」が貨幣の中心)
日本銀行:マネーストック(定義)


3. 椅子が増えないと何が起きるか(仕事・賃金・生活)

社会に回るお金・需要が増えにくい状態で、競争だけ強めたら何が起きるか。

  • 企業は「人件費を固定化したくない」
  • 家計は「将来が不安で消費できない」
  • みんな守りに入る
  • 経済のエンジン(需要)が弱い
  • なのに「自己責任で頑張れ」とだけ言われる

これ、椅子取りゲームで言うと

椅子は増やさない
参加者だけ増やす
音楽だけ爆音にする
負けた人に説教する

という、ホラー運営です。


4. 日本で実際に起きたこと(非正規・賃金停滞のデータ)

(1) 非正規は“3人に1人超”

総務省統計局の労働力調査(2022年平均)では、**非正規雇用が36.9%**と明記されています。
総務省統計局:労働力調査 2022年平均 Summary

“The non-regular employees accounted for 36.9% …”(同PDF内)

つまり日本の労働市場は、かなりの比率で「椅子がガタガタの席(不安定席)」になっている。

(2) 賃金(所得)が上がらないどころか、30年スケールで停滞

IMF(国際通貨基金)の日本に関する分析では、衝撃の一文があります。

「平均賃金所得は1995年以降上昇していない。日本はG7で最も成績が悪い」
IMF Country Report No.23/128(Selected Issues)

これ、感想じゃなくて IMFの文章です。重い。

もちろん“どの指標で見るか”や“家計内の分配”など論点はありますが、少なくとも
**「日本は長期で賃金が伸びにくかった」**は、国際機関のレポートでも確認できます。


5. 自己責任論がホラーになる構造

ここで自己責任論が最悪の形で効いてきます。

  • 椅子(安定雇用・十分な所得)が増えない構造
  • でも「競争しろ」「成長しろ」「自己責任だ」

これ、負けた個人の“性格”や“努力”の問題に見せかけて、実は

  • ルール(制度)
  • 椅子の数(政策・景気)
  • 入場条件(世代・家庭環境・地域格差)

の問題を、ぜんぶ個人に押し付ける技術です。

そして生活面ではこう連鎖する。

  • 雇用不安・低所得
  • 将来が読めない
  • 結婚・出産を控える(価値観じゃなく生存戦略)
  • 人口が減る
  • 需要も供給も縮む
  • 「財源がない」「余裕がない」と言われる

いや、余裕を作らない運営をしてきたんだよ、という話です。


6. 「供給力を上げろ」の本当の意味

「供給力」って言うと、なぜか根性論にされがちですが、違います。

供給力の土台は、だいたいこのへんです。

  • 安心して働ける(雇用とセーフティネット)
  • 教育・医療が維持される
  • 子育て・介護の負担が潰れない
  • インフラが壊れない
  • 災害対応が回る

要するに、人間が再生産される社会であること。
ここが弱い国は、気合いで供給力は上がりません。気合いはカロリーにならない。


7. 結論:椅子を増やせ(政策の方向性)

結論はシンプルです。

椅子を増やさずに競争させるな。

方向性としては、少なくとも次のセットが必要になります。

  • 需要の下支え(景気を冷やしすぎない)
  • 雇用の安定化(非正規の待遇・移行の設計)
  • 子育て・教育・医療など“生活の土台”への投資
  • しんどい人を落とさないセーフティネット(それが挑戦の前提)

そして重要なのは、これは「優しさ」ではなく、経済の設計だということ。
椅子が増えれば、椅子取りゲームは“殺し合い”になりにくい。社会が持つ。


8. よくある反論Q&A(短く)

Q1. 椅子(支出)を増やしたらインフレになるのでは?
A. 供給制約を無視して需要だけ増やせばインフレ圧力は出ます。だからこそ「何に出すか」(供給力の土台整備)が重要。

Q2. 企業が賃上げすればいいのでは?
A. 賃上げは重要。ただ、企業が賃上げしやすい環境(需要が読める、将来が読める、下請け叩きの是正など)もセット。

Q3. 自己責任って、努力を促す良い言葉では?
A. “責任”を語るなら、まず運営がルールを説明すべきです。椅子の数を増やさず「努力が足りない」と言うのは、ゲーム運営として不誠実。


参考資料(本文で引用した一次ソース)

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