私は何度でも言う。
消費税は消費税であって、社会保障費ではない。
税目と歳出項目は別物だ。
消費税は歳入であり、社会保障費は歳出である。
この基本構造を無視して、「消費税は社会保障の財源だ」と繰り返すのは、制度の説明ではなく政治的フレーズに過ぎない。
1.社会保障の財源構造を見よ
厚生労働省の公表資料によれば、社会保障給付費は約130兆円規模。
その財源構成は概ね以下だ。
- 約6割:社会保険料
- 約4割:公費
この「公費」は何か。
一般会計からの繰入である。
そして一般会計の歳入には、
- 税収
- 国債発行
が含まれている。
つまり、社会保障はすでに国債によって部分的に賄われている。
これは推測ではない。制度上の事実だ。
2.「税がなければ給付できない」は誤り
社会保障はすでに国債を財源にしている。
ならば、
「税収が足りないから給付できない」
という説明は成り立たない。
国は通貨発行主体である。
国債は円建てで発行される。
中央銀行は政府と同じ通貨発行体系の中にある。
メカニズム上、国債発行は財政制約にはならない。
これは財政運営の構造の問題であって、思想ではない。
3.無制限発行は可能か?
結論から言えば、可能である。
制度的に、円建て国債の発行に数量制限はない。
デフォルトリスクも存在しない。
政府は自国通貨建て債務の支払い能力を失わない。
これは通貨主権国家の基本構造だ。
もちろん、発行の仕方には配慮が必要だ。
- 需給状況
- 景気動向
- 資源制約
これらを見ながら運用ルールを設ければよい。
だが「税がないと無理」という話とは全く別次元である。
4.日本は何を経験してきたか
30年近いデフレと低成長。
名目GDPの停滞。
賃金の横ばい。
需要不足。
この状況で、
「インフレ制約があるから財政拡大は危険だ」
という議論は優先順位を誤っている。
インフレは長期的に日本の問題ではなかった。
むしろ問題は、
需要不足による供給能力の劣化だ。
社会保障拡充は、
- 高齢者の消費を支え
- 医療・介護の雇用を増やし
- 地域経済を安定させる
マクロ的にも合理的である。
5.消費税と社会保障を結びつける意味
ではなぜ「消費税は社会保障財源」という説明が続くのか。
それは政治的なフレームだ。
このフレームを固定すると、
- 給付拡充には増税が必要
- 税収の範囲内でしか政策はできない
- 財政拡大は無責任
という思考が自動的に導かれる。
しかし制度上、
社会保障は国債でも賄われている。
つまり、
税と直結させる必然性はない。
6.国庫負担を増やせばよいだけだ
高齢化が進むなら、
国が負担を増やせばよい。
給付を引き上げればよい。
保険料を引き下げればよい。
それは制度的に可能だ。
社会保障は国家の基盤インフラである。
コストではない。
内需の安定装置である。
これを税制論で縛る必要はない。
7.本質は政治の選択
できないのではない。
やらないだけだ。
「財源がない」という言葉は、
政治的優先順位を隠すための便利な表現に過ぎない。
国債がすでに財源に含まれているという事実を直視すれば、
議論はまったく違う形になる。
社会保障を拡充するか。
国庫負担を増やすか。
保険料を軽減するか。
これは経済的不能の問題ではない。
政治意思の問題である。
結論
消費税は消費税である。
社会保障費ではない。
社会保障はすでに国債で部分的に支えられている。
制度的に無制限発行は可能である。
運用上のルールは設ければよい。
日本は長期デフレを経験してきた。
いま優先すべきは需要の回復であり、給付の抑制ではない。
社会保障を税に縛るな。
政治の選択肢を最初から狭めるな。
必要なのは増税議論ではない。
国家として何を守るのかという判断だ。

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